プーリーはコーデットコートなのである!

巷では「ドレッドじゃなきゃ、プーリーではない」と言う人もいるとか。ん?一体どういう意味?縄状網の毛質を持たないプーリーは、プーリーじゃないって事?そう言うことなら解る!正解です。そもそも「プーリー」というのはドレッド(コーデット・コート)なのだから。
皆さんはプーリーのあのコード状のコートが「人間の手」で『作られている』シロモノだと思ってはいないだろうか。
本物のプーリーと暮らし、(あえてそう書くが)そのコートがどうやって形成されていくのかを、じかに見てきた人ならわかると思うが、あれは人間が作ろうとして作れるようなものではない。(ただし、似たような感じに作る事は可能だと思う。)
未だにプーリーのコートを、「いつから編み始めればいいのか」とか「コートが伸びて編めるようになるまでしっかりブラッシングしてください」だとか「シャンプーのたびにほどいては編み直す」と思っている人が残念なことにペットショップさんやトリマーの専門学校の講師などの、いわゆる「プロ」と呼ばれる方たちにでさえいるのだ。
プーリーのコード状コートは、それ相応の時期が来ると、ごく自然に、勝手に形成される。人間はそれをちょっと手助けするだけなのである。
(ただしそうならない個体もあるのも事実。毛質は遺伝によって左右されます。)
だから、ドレッドは「作る」わけではなく、勝手に「できる」ものだということを忘れてはいけない。

例えば、あるプーリーを丸刈りしたとしよう。そしてその後またずっとブラッシングをせず、1年放って置いたとしたら、そのプーリーはどうなるだろうか。もう2度とドレッドはできない? いえいえ、そんなことはありません。ちゃんとドレッドは復活しちゃう。(写真のプーリーは、一度丸刈りにした後、絡んだコートです)
1度目のようにキレイには仕上がらないけれど、それなりのコード状にはなるのだ。それが、プーリー。

だから、ドレッドじゃなきゃプーリーじゃない、というのはナンセンス。どうやってもプーリーはドレッド(コーデット)なのだから。
よく使う言い方だが、コード状に「する」とか「しない」というのも同じ。
結局この「コードにしない」というのは、色々な事情によって、コーデット・コートを維持せず、テディベア・カットとか、いわゆるペットカットにする、ということであって、それは「コードにしない」というのではなく、もっと単純に「ペットカットをしている」ということなんだろうな、と思うのである。
よくプーリーのコートを見て暑そうだとか、可哀相、虐待だとかいう人がいるが、プーリーのコートの機能や性質を理解できればそう言った思いが大間違いである事が解るだろう。
プーリーのコーデットコートがどれだけ素晴らしい物なのか理解してほしい。
他の犬種に例えてみよう。解り易い犬種で言えばシー・ズー、マルチーズ等、本来コートを長く伸ばす犬種でも、短くカットして手入れを楽にして飼っている方がいるように、またワイヤーコート種のように本来は硬い針金状の毛を持つ犬種に対する適切なお手入れをせず、コートを維持しないで飼っている方がいるのと少し似ているような気がするのだけれど・・・。

ただ、どの犬種にしても「その犬種の持つ毛質」と言うのが必ずあり、その毛質に合った適切なお手入れ、管理というものが大切になってくる。
注意しなければならないのが、適切なお手入れをしない事で皮膚のトラブルを起こしてしまう事もある。

また、どんな犬種も、やはり繁殖の仕方で本来の皮膚、被毛を、毛質を損なう、いわゆる退化、悪い意味での進化してしまう事、そんな固体も存在しているのも現状だろう。